「ロードス」という名の島がある。「呪われた島」として名高い辺境の島だ。
怪物がうごめく迷宮や、そして人を寄せつけぬ魔の領域が各所に存在している。ほんの三十年ほど前には「呪われた島」というその不吉な名前を証明してみせるかのように西の山中にある「最も深き迷宮」と呼ばれる魔宮から遥かなる古代に封印されていた強大な力を持った魔神たちが開放され、ロードス中を恐怖のどん底にたたき落とすという事件が起こっている。
その魔神との激しい戦いは、一年余も続きロードスの各地に混乱と破壊の波が押し寄せたが、人間を始めエルフ、ドワーフら光を信仰する者たちが協力して、再び魔神を封ずることができた。
かくして戦乱の時代は終わり、ロードスには元の退屈ではあるが平和な日々が取り戻されたのである。しかし、それは束の間の平安にすぎなかった。やがて来る大きな災厄の前のほんの僅かな間の休息。
ロードス島の東南、賢人たちの国カノンの南の海上に浮かぶ暗黒の島マーモを武力で統一する戦士が現れたのだ。その戦士の名はベルド。自ら暗黒皇帝の名を名乗り、恐怖でもって魔ものたちを支配していった。
邪悪な怪物たちの軍団が暗黒皇帝の元に密かに召集されつつあった。そして、その影に一人の魔女の存在があることはまだ誰も知らない。その者の名も魔法の力も、いかなる場所で生まれ、いかなる生き様をおくってきたのかも。
人々は再び訪れようとしている戦乱の予兆から目を背けるように日々の暮しを送っていた。
そんなロードス島の東の大国アラニアの片田舎ザクソンの村に正義の志に燃える若き冒険者がいた……
日本にテーブルトークRPG「ダンジョンズ&ドラゴンズ」を紹介し広く認知させたパソコン誌「コンプティーク」のリプレイ連載から始まったヒット作品のコンピューターRPG。そのPC-98版の移植。
ストーリーは誌面連載と小説第1巻を混ぜ合わせてベースとしている。
MSX版のシステムは版権の問題から誌面連載時の内容で本を出版できなかった関係から生まれた「ロードス島戦記 コンパニオン」のルールに準拠。
戦闘システムはフィールド、ダンジョン共にタクティカルコンバットで、クイックコンバットは省かれた。オリジナルであるPC-98版はディスク読み込みが長く(後に改良版ディスクが配布された)、すこぶる不評だった。おそらく開発時から問題視されていて、その解決策として実装されたであろうクイックコンバットは、元からディスク読み込みの長いMSXはユーザーに耐性があり不要と判断されたように思う。
それよりも問題なのは中途半端なゲーム内容で、初めに作られたPC-98版はパソコン本体の値段がPC-88の倍近いこともあり、学生の身でPC-98を所持してる者は1学年に10人もいなかったであろう。購入のターゲットとしたのは金銭的に豊かな社会人だと思われ、まさに大人の嗜好品だ。
故に、テーブルトークをコンピューターゲーム化して自分で作ったキャラクターをロードス島に持ち込んでその世界を楽しむことをコンセプトとしたはずが、原作ストーリーを追っていくだけの子供が好みそうな味付けがされている。しかし、会話が淡白なので感情移入しづらい。
用意されたシナリオの数も必要最低限といった感じで、世界の広がりをまったく感じられなかった。
これならオマケで原作キャラを使えるようなゲームではなく、ドラマチックに演出して活躍させるオーソドックスなRPGの方がマシだったかもしれない。
実際のところ可もなく不可もなくといった出来栄えかもしれないが、早くから発売を望まれ期待が大きく出たらヒット確実と思われただけに、さまざまな思惑から質の悪い印象を受けてしまうのは非常に残念なことである。
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メーカー名 | ハミングバード |
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開発元 | ハミングバード |
英語表記 | Record of Lodoss War |
機種 | MSX2/2+/R |
発売日 | 1989年 |
価格 | 9,800 円 |
ジャンル | ロールプレイング |
メディア | FD 3.5" 2DD ( 4 枚 ) |
閲覧数 | 19,655 回 |
人気ランク | 110 ポイント |