神世紀1527年、ハラスの月は上弦の3日のことである。
世界中の人々を震撼させる大いなる悲劇が、メルサードに咲く小さな花のごとき王国を襲った。
古い歴史と伝統、そして美しさと気品を兼ね備えた小国サリス。
ユフォーン湖の水面に映るサリス城の優美を讃えた詩歌はあまたを真添え、霧に包まれた美しい都サリスの名を世界中に知らしめていた。
時の国王トルネス・ラ・エフォ・サリスは、詩歌及び音楽への造詣が深く、国を挙げてその研究を奨励したため、優秀な文人・楽士が多く輩出したという。
そのサリスを襲った恐るべき災禍は西方より静かにやってきた。
炎に追われ逃げ惑う人々の前に現れたのは、ジ・クォンにまたがった正体不明の騎兵達。
燃えさかる業火と阿鼻叫喚の地獄絵が王都全土に拡がって行く。
それを静かに見つめる暗赤色の外套で全身を被った死の使い魔たち。
バハマーン神国の暗殺魔術団「ヴィーフォ」である。
二昼夜の攻防の末、城を取り囲んでいた魔術結界は破られ、侵略者の刃はいままさにサリス王家の人々に振り下ろされようとしていた。
額から血を滴らせた近衛師団長のベルレス・サザビア・オーヘンツ・マイファーの途中から折れた長剣と返り血を浴びて朱に染まった鎧が、戦いの壮絶さを物語っている。
周りを取り囲む敵兵に身体を向けたサリス王の手にはサリス王家に代々伝わる秘風剣サータルスがしっかりと握られている。
暗殺魔術団「ヴィーフォ」の神団長ザルザ・ドレムは黒衣の外套に身を包み、体躯に似合わぬ大振りの曲刀を背負い、節くれだった指でゆるゆるとサリス王の胸元を指し示し、嗄れ声で冷酷に号令をかけた。疾風とともにサリス王の身体が宙を舞う。
暗闇の中を慌ただしい足音が駆け抜けてゆく。叫びながら王妃の道を先導するのはアラハス・カウリン、王室付きのルーン・カルバである。彼の魔術によって生み出された霊火が行く先を明るく照らす。
アラハスに続くようにして幼き子供が、そして赤子を抱いた女が……走る。
しんがりを務めるのは近衛師団長ベルレス。だが彼の手には、もはや剣は無かった。
それから十数年後、ドーネル高地に根城を持つ山賊の中に一人の少年がいた。
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メーカー名 | ティーアンドイーソフト |
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開発元 | ティーアンドイーソフト |
英語表記 | Rune Worth |
機種 | PC-8801/SR |
発売日 | 1990年 1月 12日 |
価格 | 8,800 円 |
ジャンル | ロールプレイング アクション |
メディア | FD 5.25" 2D ( 5 枚 ) |
閲覧数 | 15,312 回 |
人気ランク | 121 ポイント |