UCLA留学生チャン・ギステラマは、今決断に迫られていた。
平凡な生活をこのまま送るか、全財産を投げ打ち冒険に出るか、である。
それは、彼が密かに突き止めた「ミクロネシアの隠し財宝のありか」が、大学内で噂になってしまったからである。
もう躊躇していられない。誰かに先を越されればこの数ヶ月が水の泡だ。
彼は、冒険に出ることを決断した。
翌朝、全財産を投げ打ち飛行艇をチャーターした。
向かうはミクロネシア。
航行は順調と思われたが、財宝を守る神の怒りに触れたのか、ひどい嵐に遭遇する。
パイロットのボメスは海上の緊急不時着を行うが、バランスを崩し海に飲まれていった。
辛うじて取り出せた救命ボートにしがみつき、彼は意識を失う。
どれぐらい時間が経ったのだろうか。
意識が戻り周りを見渡してみると、そこは見も知らない無人島であった。
無人島脱出系のコマンド入力式のアドベンチャーゲーム。
惑星メフィウスと同年に発売された、初期アドベンチャーの代表作としても挙げられる。
初期作には珍しく、数十を超える豊富なアイテムが登場する。その一つ一つが丁寧に描かれたグラフィックも本作のウリで、同年に発売されたアドベンチャーゲームと比べて、群を抜いてグラフィックの質が高い。
参考だが、同年に発売された代表的なアドベンチャーをざっと挙げると
・アタックひろ子ちゃん
・イカロス
・黄金の墓
・大奥マル秘物語
・鍵穴殺人事件
・デゼニランド
・惑星メフィウス
上記のとおりである。後発の惑星メフィウスに至っても、南太平洋アドベンチャーのグラフィッククオリティには届いていない。
にもかかわらず、本作はあまり注目されなかった。
それはあまりにもゲームが難解すぎたためだ。
理不尽なゲームオーバーが多い上、登場するアイテムのほとんどがダミー。前フリも無く、アイテムを調べただけで唐突にゲームオーバーになる等が最たる例である。また、持てるアイテムの制限数が決まっている事と、通常では予測不能なアイテムの使い方をしないといけない事が、さらに難易度を上げている。
コマンドも難解である。ストーリーの因果関係がほとんど無いのだ。
例えば通常のアドベンチャーの場合、謎が出現した後にその解決策を見つけるものだが、本作の場合は「謎が出現する前に解決策を用意して臨む」という逆順で進む。解決策やアイテムが用意できずに先に進むと唐突にゲームオーバーになることが多い為、何が原因で先に進めないのかがさっぱり解らないのだ。
もし、上記の難解さが緩和されていて、もう少しストーリーにつながりがあるゲームであったならば、本作の評価や知名度は180度変わっていたのかもしれない。
ちなみに、ゲーム中アイテム名が解らないというユーザのために一つ豆知識を。
「アレヲ シラベル」
と入力すると、アイテム下に数字が出てアイテム名を調べることが出来る。
最後に、うっかり起動方法を忘れてしまった方のために。
[ ゲームの起動方法 ]
ゲームカセットをセットし、下記の順番でコマンドを入力する。
LOAD ”ADV”
RUN
[ カナ ] | コマンドの入力。 |
[ RET ] | コマンドの決定。 |
メーカー名 | デービーソフト |
---|---|
開発元 | デービーソフト |
機種 | PC-8801/SR |
発売日 | 1983年 11月 |
価格 | 4,500 円 |
ジャンル | アドベンチャー |
メディア | CM-TAPE ( 1 本 ) |
閲覧数 | 18,136 回 |
人気ランク | 130 ポイント |