スコットランドヤードに奇妙な依頼が舞い込んだ。
殺人予告を受けたので護衛をお願いしたいというものだ。
依頼者の名前はギルズ・ウィルコック。世間でも名の知れた資産家である。
早速、郊外にある彼の別荘へと急行して抜かりなく配置に着く。
殺人予告時刻は午前0時。
ウィルコック氏は二階の書斎で、そして刑事である貴方は書斎のドア前で待機した。
別荘にいるのは「秘書」「メイド」「コック」「客」「使用人」、そして、貴方とウィルコック氏の7人。誰もが緊張した面持ちで時間が過ぎるのを待った。
予告時間の0時直前、部屋の中から銃声と悲鳴が聞こえた。ドアは鍵がかかっていて開けられない!
とっさに鍵穴を覗いた貴方の目に見えたのは……。
ディスクミステリー第1弾。
コマンド入力式の推理アドベンチャーゲーム。
屋敷内の数々のトリックを暴き、証拠品を集めながら真犯人を探す事が目的。
本作の大きな特徴として「容疑者の尋問」モードがあげられる。これは、ストーリー展開や時間軸に関係なく、いつでも容疑者を尋問できるというものだ。
今となっては特に目新しい事ではないが、それまでの「アドベンチャーゲーム=手順どおりの言葉探し」には無い発想で、非常にインパクトのある作品に仕上がっている。証拠品を見つけてはそれを突きつけ、新たな糸口が見つかればそれを問いただす。まるでプレイヤーが本物の刑事となったような臨場感が味わえた。本作が当時では珍しく、人間関係を重視したミステリーである事も一役買っているのであろう。
多少、古典的な屋敷トリックが多過ぎる気もするが、物語としての謎解きやシナリオは非常にしっかりと練られている。証拠品の配置などは、特に秀逸である。プレイヤーを誘導するためだけの理由で、安易な場所に置かれているのではない。必然性を持った場所に、必然的な理由で配置されているのである。開始当初はさっぱり解らないのだが、真犯人にたどり着く過程でその意味が徐々に解ってくるのだ。「誰が何の理由でここに置いた(落とした)のか?」それらを推理する事も本作の楽しみと言える。
システム面として、なるべく多くのコマンドを理解しようという意図か、入力受付けの幅が広い。
* メイド ヨブ
* メイド ヲ ヨブ
* メイドヨブ
上記3つの入力、全てが通る。
これは「名詞」と「動詞」を分けて理解する手法だ。逆説的に考えれば、キーとなる名詞と動詞が入っていれば良いという事になるため、以下のコマンドも通ってしまう。
* メイドヲヨブコトハゼッタイニシナイ(メイドを呼ぶことは絶対にしない)
上記のコマンドは「メイド」「ヨブ」が入っているため、結果的にメイドが尋問に呼ばれることになる。
応用編として、名詞を少し変えてしまう方法もある。
例えば「水」。これを「ミミズ」にした場合、
* ミミズ トル
上記の場合「ミズ トル」として理解される。
[ カナ ] | コマンドの入力。 |
[ RET ] | コマンドの決定。 |
[ 2 ] [ 4 ] [ 6 ] [ 8 ] | 移動。 |
[ イロ ツケル ] | 画面の着色を行う。 |
[ イロ ケス ] | 画面の着色を行わない。 |
[ ゲーム セーブ ] | ゲームセーブを行う。 |
[ F1 ] | 秘書(ジョン・ロリンズ)を呼ぶ。 |
[ F2 ] | メイド(メアリー・スチュワート)を呼ぶ。 |
[ F3 ] | 客(ロバート・メイズ)を呼ぶ。 |
[ F4 ] | コック(マック・ピーターソン)を呼ぶ。 |
[ F5 ] | 使用人(ハロルド・ゲイン)を呼ぶ。 |
メーカー名 | シンキングラビット |
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開発元 | シンキングラビット |
英語表記 | KYEHOLE MURDER |
機種 | PC-8801/SR |
発売日 | 1983年 10月 |
価格 | 7,800 円 |
ジャンル | アドベンチャー |
メディア | FD 5.25" 2D ( 1 枚 ) |
閲覧数 | 23,489 回 |
人気ランク | 307 ポイント |